東京高等裁判所 昭和32年(ネ)1306号 判決
控訴人は、金三十万円をさきに稲戸井村農業会から、その後常陽銀行取手支店から借り入れることについて、村議会の議決承認があつたのであるから、右金額の範囲内における本件金二十万円の借入は、村長に与えられた権限であるかの如く主張するけれども、さきに議決のあつた借入金額の範囲内であつても、その後右議決による借入先と異なるところから借入をするについては、更に議会の議決を要するものと解するを相当とするから、右主張はこれを採用することができない。また、控訴人は、地方公共団体の長は村の事務を自らの判断と責任において誠実に管理し及び執行する義務を負うことと対応して、自らの判断と責任において、村のために借入をなす権限を有するものであると主張するけれども、元来地方公共団体の長は、その専決に属せしめられている事項を除いて議会の議決した事項を執行するものに過ぎず、議会の議決なくしては、金員の借入をなすことができない。村長が自らの判断と責任において、村のため借入をなす権限を有するとの控訴人の主張は到底これを採用することができない。
(角村 菊池 土肥原)